HYODO KOGEI CO.,LTD Hideto Hyodo Vol.2

 
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信用できるのは手の感覚
ーーー長年アクリルと向き合い続けている俵藤さん。

どんなことを意識しながら日々作業をしているのでしょう。

「作業効率より作業効果を優先させています。もちろん職人として効率が良くないと仕事は進まないので、自分自身のスキルは磨き続けていきたいですが、決して効率のために大きい工場を持ちたいとは思わないです」

ーーー俵藤さんの工場には、お父様の代から使っているという年季の入った道具が並んでいる。
最新機械を使用する人が多い中で手作業にこだわるのには理由があるのでしょうか。

「確かに最新の機械も紹介されたりはします。でも機械と手で作るのでは違うんです。これは、最近老眼になり始めて特に実感していることなんですが、目ってあまり頼りにならない。実際に1000分の1は目では確認できないけど、触れば分かるんですよ。だから機械で作って目視で確認するより、手で触りながら作る方が全然信用できます」

手の感触で分かるなんてまさに職人技。幼い頃から工場に出入りしていたこともあり、いつの間にか感触で判断できるようになったそう。

ひょうどう工芸_俵藤ひでと_アクリルアート

アクリルを削るナイフも手作りなんだとか


思い出の空を切り取るという発想
「この作品は夕焼け空をイメージした作品です。空って瞬間的にどんどん色が変わっていくものですが、その瞬間の色を持ち帰れたらいいなって」

ーーーその考えはふと思いついたのでしょうか。

「父親がガンで闘病している時に、病室から綺麗な夕焼け空が見えたんですけど、すでにあまり目が見えなくなっていた父親には見えなくて。その時にこの空を切り取って手元に持っていけたらいいなって思ったんです」

ーーーそんな感動的なエピソードからうまれた作品だとは驚きました。

「こんなエピソードを話すとしんみりした雰囲気になっちゃいますよね(笑)。でも、僕ごとではそうだけど他の人にも思い出の夕焼け空があると思っていて、この作品にみんながそれぞれの夕焼け空を投影してくれたらいいなって想いで作っています」

ひょうどう工芸_俵藤ひでと_アクリルアート綺麗なグラデーションが印象的な夕焼けをイメージした作品


計算しつくされた光の屈折

ーーー私も思い出の夕焼け空をふと思い出してしまいました。
この綺麗な色はどうやって付けられているのでしょうか。

「アクリル全体的に色がついてるように見えますが、真横から見ると透明の分厚いアクリル板に色のついた薄い板を貼り合わせているのが分かると思います。ちなみにオレンジは、ピンクと黄色を両側に貼り付けて作っています」

ひょうどう工芸_俵藤ひでと_アクリルアート

色のついたアクリルの秘密を真横から覗き見

ーーーホントだ...! これはちゃんと真横にして見ないと気づかないですね。
他の角度から見ると全体がオレンジに染まったように見えるのが不思議です。

「実は色の光の屈折率が一緒になると色が混ざるので、真横から見ない限り全体がオレンジに見えるんです。グラデーションは色のついた板の厚みを調整することで作ることができます。例えばピンクを中央から右端に向かってだんだん薄くすると薄くなった部分に反対側の黄色が透けてきて、【ピンク→オレンジ→黄色】のようなグラデーションが出来上がります」


日本文化とアクリルを融合させる

俵藤さんがお気に入りだと言って紹介してくれた作品は「茶杓(ちゃしゃく)」。

ーーーあれ...! この形どこかで見覚えがあるような気がします。

「これコンビニのパフェスプーンからインスピレーションを受けて作った作品なんです」

ひょうどう工芸_俵藤ひでと_アクリルアート俵藤さんお気に入りの作品「茶杓」

ーーー茶杓に変身させた発想力も恐るべしですが、どうやら茶杓の歴史とも結びつくとのことで。

「茶杓の格の話になりますが、茶杓の格は上から【真/行/草(シン/ギョウ/ソウ)】の3つに分かれていて、実はよく見る竹のものは一番格が低い【草】の茶杓です。これは昔、千利休が野立(のだて)といって外でお茶を立てる時にその辺の枝をとって茶杓として使っていたそうなんです。そういう意味では、コンビニのパフェスプーンのようにその辺にあるものや捨てられるものを茶杓にすることは、ある意味お茶の文脈にはあってると思います」

作品に込められたストーリーを知ると、初めて作品を見た時とは違った魅力がみえてくる気がします。さらには形にも面白い意味合いがあると教えてくださいました。

「一番格の高い【真】は、唐から薬と一緒に薬さじとして入ってきた象牙のもので、それをお茶道具に見立てて使っていた歴史があります。実はこの作品、その【真】の茶杓にそっくりの形なんです。だから、【真】と【草】両方の要素が入っているので、お茶の知識がある人からすると、とても面白い作品なんですよ」

ひょうどう工芸_俵藤ひでと_アクリルアート高級住宅街のイメージが強い白金の住宅街にある存在感抜群の工場


普遍的の追求と自分なりの表現方法

俵藤さんは茶杓の他にも、日本の歴史や文化からヒントを得た作品を多数生み出しています。

ーーーそこにはどんな想いがあるのでしょうか。

僕はあまり進化するって言葉があまり好きじゃないです。例えば2000年前と今を比べたとして、今の方が進化しているとは思わないんですよね。昔も今もみんな同じ様な出来事を考えたり乗り越えたりしていると思うので。日々、普遍的なものはなにかなと思いながら、これからも僕ができる方法で表現ができればと考えています

あなたのストーリーもアクリルに閉じ込めてみませんか?

今、我々は俵藤さんとともに素敵な商品を考え中です。楽しみにしていてくださいね。