HYODO KOGEI CO.,LTD Hideto Hyodo Vol.1

照明器具や電子部品、アクセサリーなど普段はあまり意識せずに使っている素材のアクリル。手にすることも目にすることも多い、わたしたちの身近な存在ですよね。光があたるとキラキラ、触ってみるとツルツル。そんな素材でつくられたアクリルアートってご存知ですか?

「有限会社ひょうどう工芸」の代表取締役の俵藤ひでとさん。ひょうどう工芸はお父様の代から始まったアクリル加工工場です。アクリル職人であり、デザイナーであり、作家でもあります。

約20年前お父様に「工場に来い」と言われ、二人三脚で始まったアクリル職人のみち

白金高輪にある小さな町工場。俵藤さんはヘルメットを被って、ビルで足場を組んでアクリル看板を設置していた時期もあるそうです。アクリルの加工技術だけで勝負されているのではなく、作品の一つ一つにストーリーを持たせ、そしてデザイン性のあるものづくりをされています。そんな「ひょうどう工芸」の工場にお邪魔してきました。

どんな作品を見せてもらえるのか、アクリルってどんな素材なんだろう? 聞きたいことがたくさんあってワクワクです。

お父様から引き継いだ、秘密基地のような俵藤さんの工場

価値がないものに価値をつける、アクリルアートの魅力

「乱暴な言い方をすると、偽物の素材と言ってしまっていいんじゃないかな」と、ちょっと驚きの表現でアクリル素材について語ってくれた俵藤さん。

「木や鉄、ガラスと違ってアクリルは自然にできたものではなく、作られた素材なんですよね。流木やガラスは転がっていても存在しているだけで成立するけど、アクリルやプラスチックは安っぽくなる」

ーーー 作られた偽物の素材だとすると、どうやって価値のあるアートになっていくのでしょう。

「木やガラスと違って素材に頼れないから、アクリルは価値がないものに価値をつけることになる。それは付加価値ではなく、新しい価値をつけるということ。付加価値というのは、そもそもの素材に魅力があるから言える言葉なんだよね。アクリルは、それだけではインテリアにもならないし、認められない素材だから、価値づけする必要がある。作品作りをする時は、ストーリーやシナリオを考えて、テーマやメッセージが見てくれる人に伝わるようにしている。それが僕はわりと好きなんだよね」

工場にはアクセサリーやグラデーションが綺麗なアート作品が置かれています

代用品として生まれたアクリルのコンプレックス

「アクリルは劣っている素材として見られることが多いんですよ。だからものすごく努力している」と俵藤さん。確かにガラスの置物やアクセサリーよりも、アクリル作品の方が安価になる印象があります。

「ガラスを本物だとすると、アクリルはガラスの代用品で生まれてきた素材なので偽物という立場になる。アクリルは本物(ガラス)以上に努力しないといけないし、ユニークでないと、ガラスを超えることはできない。アクリルのあるべき姿や、素材のコンプレックスをどうやっていい方向へ変化させるかを考えないといけない」

ポータブル照明「hymn(ヒム)」 の試作品。プロの技術でピカピカ滑らかに

「それは新しい価値をつくることに繋がるし、ガラスにはできないことを探って、本物には負けねえぞ! という強い気持ちでやっているんだよね」

代用品として生まれてきた以上、物質的な価値はどうしても低くなってしまいます。素材自体の課題を解決することはできなくても、ガラス以上に「本物とは何か」を考え続ける日々を送っているとのこと。

「どの方向から見ても透明だからこそ、アラを隠すのが難しい。アクリルは綺麗に見えるのは当たり前だけど、ものすごく努力して綺麗にしているんですよ。毎日努力しているのに、本物じゃないでしょ? と言われてしまう不遇な素材なんですよ実は」

アクリル素材への想いをかなり熱く語ってくれた俵藤さん

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